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フィン・ユール

フィン・ユール Finn Juhl(1912~1989)

 

デンマークを代表する建築家、家具デザイナー。

 

1912年、デンマークのコペンハーゲン近郊フレデリクスベアに生まれる。若い頃は美術史家を志していたが、父親の反対から王立芸術アカデミー建築科に進学する。在学中からヴィルヘルム・ラウリッツェンの建築事務所で働き始める。

 

1937年、25歳のときに家具職人組合の展示会に初出品する。家具職人ニールス・ヴォッダーとの協力関係のもと、1940年代には《イージーチェア No.45》、《チーフテンチェア》など、代表作となる椅子をデザインした。また、1942年にはコペンハーゲン北部のオードロップゴーに自邸を建設し、自らデザインした家具や日用品に囲まれて暮らした。

 

1950年代はアメリカへと活動の場を広げ、国連本部ビルの信託統治理事会議場のインテリアと家具デザインを手掛けるなど、国際的に名を広めていった。スカンジナヴィア航空のオフィスや旅客機のインテリアデザイン、世界各地で開催されたデンマーク・デザインを紹介する展覧会場デザインなど、建築家、インテリアデザイナーとしても幅広く活躍した。

 

 

フィン・ユールデザインの魅力]

 

デンマークのデザイナーのなかでも、フィン・ユールは、ひときわ美しい家具をデザインしたことで知られます。優雅な曲線を特徴とするその椅子は、「彫刻のような椅子」とも評されます。ソファのやわらかい丸み、肘に沿う滑らかなアーム、ほっそりとシャープな脚部…その椅子には、建築を学び、美術を愛したフィン・ユールならではのこだわりが随所にあらわれています。

 

当時の家具デザイナーたちの多くが家具の専門学科や家具工房の出身であるのに対し、フィン・ユールは美術史家になることを夢見ながらもアカデミーで建築を学び、建物の設計やインテリアデザインにたずさわるなかで家具デザインを手がけました。

 

身体を抽象化したようなやわらかなフォルムは座って心地よいばかりで なく、彫刻作品にも似た静謐な存在感を放ち、建築や美術、あるいは日用品と濃密に響き合いながら、空間の調和を生み出す役割をも果たしているようです。